私的名台詞#10 自分を助ける最良の人は、自分よ
映画「マダム・イン・ニューヨーク」から 8月に入って、調子が悪い。 仕事では、まともに取り合ってもらえない状況が続いて鬱々とし、いや、そもそもそんなたいそうな者でもなし、と思い直しては、どんよりしている。 住み始めて15年になる家は、あちこちガタがきはじめて、ネットで修繕費...


2020年映画ベストテン+3
石村加奈のベスト10+3 ©2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC 1海辺の映画館ーキネマの玉手箱 2パラサイト 半地下の家族 3はちどり 4ソウルフル・ワールド 5おらおらでひとりいぐも 6国葬 7ストーリー・オブ・マイライフ・わたしの若草物語...


大林映画でしか見られない、壮年女性の色気
『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』より 久しぶりに大林宣彦監督の映画『北京的西瓜』(1989年)を観て、気づいたことがあった。私は、大林映画の所謂“永遠の少女”より、人生の重みを背負えるだけの太さを備えた、壮年の女性たちに魅了されてきた。例えば『女ざかり』のヒロイン(吉永小百...


2019年映画ベストテン+3
岩根彰子のベスト10+3 ©Meta_Spark&Kärnfilm_AB_2018 1 ボーダー 二つの世界 2 幸福なラザロ 3 シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢 4 永遠の門 ゴッホの見た未来 5 ナディアの誓い 6 天国でまた会おう 7...


枠から飛び出たヒロインにワクワク
タイトルや、主人公が一人暮らしの老女という設定からは想像もつかない、エッジの効いた映画だ。 映画の冒頭、ロシアの田舎町に暮らす73歳のエレーナは「心臓病で、いつ死んでもおかしくない」と余命宣告を受ける。都会に暮らす一人息子の“お荷物”にならないようにと、すべからく彼女は自分...


初めて母と映画を
最初にお断りしておくが、これはレビューではない。骨のある社会派映画について、こんなにセンチメンタルな文章も少し的外れかもしれない。しかし、映画についての、ひとつのエピソードとして記しておきたかった。 7月某日金曜日の午前中、病院で診察を待っていると、となりで新聞を読ん...


2018映画ベスト10+3
2018年公開の映画ベスト10+その他印象に残った作品3本をピックアップ。 石村加奈の10+3 ©2017 Twentieth Century Fox. 1 スリー・ビルボード 2 菊とギロチン 3 ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 4 レディ・バード 5...


私的名台詞#9<br>「彼らが最初に共産主義を迫害した時……」
映画『きらきら眼鏡』 高校時代の彼女の死を引きずったまま、日々をやり過ごしていた明海(金井浩人)の前に、突然現れた年上の女・あかね(池脇千鶴)。なんの変哲もない夏空に感嘆の声をあげ、事務員として働く産業廃棄物処理場に集められたゴミを人が生きている証だという風変わりな彼女は、...


私的名台詞#8「恋愛は科学じゃない」
映画『タイニー・ファニチャー』 自尊心や感受性ばかり強いくせに、大事なものがまだ自分の中心になくて、自分の中で基準もないような、足もとがぐらつく時期がある。当時の自分がどれくらい無力でバカだったか、いやというほど知っているからこそ、その渦中でもがいている人を見るのは、正直し...


母としての覚悟、さらに
2017年の映画館の思い出と言えば、『女神の見えざる手』だ。レディースディでもないのに、女性客がひしめく劇場。タフなヒロインの胸をすくような活躍を堪能して劇場を後にする彼女たちの、元気の湧く様子。強いヒロインの映画を観ていると、活力に満ちていくのが自分でもわかる。今回は2月...