私的逸曲#1<br>「今夜はブギー・バッグ」
「今夜はブギー・バッグ」(1994) 作詞・作曲・編曲/小沢健二、光嶋誠、松本真介、松本洋介 映画『オオカミ少女と黒王子』より 風邪で学校を休んだ、オレ様王子こと恭也(山崎賢人)の見舞いに行ったヒロイン・エリカ(二階堂ふみ)が、ぎこちなくもかいがいしく世話を焼き、恐らくまだ...
サンディエゴの青年に抱く、ふしぎな当事者感
映画『ヒップスター』 ふしぎな肌ざわりの映画だ。原題は真逆の「I AM NOT A HIPSTER 」(“HIPSTER”とは、流行に敏感な人を指すスラング)。たしかに本作の主人公、ブルック・ハイド(ドミニク・ボガート)は、流行に関心はなさそうだ。ライブシーンから始まる本作...
名画をいただく<br>『バベットの晩餐会』
デジタル・リマスター版でよみがえった名画『バベットの晩餐会』が全国順次公開中だ。海辺の小さな村で慎ましく暮らす人びとの、心と体を満たすバベットのディナーは、スクリーンで観るとおいしさ&見応えが一段とUP! 貴重な機会をぜひとも味わっていただきたい。以下は、以前「午前十時の映...
母の日によせて<br>映画の中の母たち
A新聞の“母の日”に寄せた紙面で、母と娘で一緒に観たい映画についてのインタビューを受けた(5月8日掲載予定)。改めて母娘をテーマにした映画を整理してみると、古今東西、娘にとって、母とは巨大な壁であると思い至った。今回はB面のノリで、ひとりで噛みしめたい(!?)母娘映画を紹介...
私的名台詞#2<br>「なんだかんだ言ってお前が正しいよ」
映画『モヒカン故郷に帰る』より 緑のモヒカン頭の売れないバンドマン、主人公・永吉(松田龍平)が、妊娠した恋人の由佳(前田敦子)を連れて、7年ぶりに帰郷すると、父親(柄本明)の末期ガンが発覚。パクチー栽培で妻子を養おうかとうそぶく、30歳過ぎの愚息は、図らずも頑固親父の死と向...
私的名台詞 #1<br>「お友達なんですか? 相手の人」
映画『百円の恋』より 安藤サクラが32歳の自堕落な引きこもりから一転、ボクサーを目指して試合に挑むヒロイン・一子を魂込めて演じた映画『百円の恋』。第39回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞と最優秀脚本賞(足立紳)を受賞した本作が、4月8日(金)までテアトル新宿で凱旋上映中だ...
主人公の、観客の、人生に寄りそう犬映画
映画『ミラクル・ニール!』をめぐって Twitterの自己紹介でも、犬好きを公言している先輩ライターのTさん、Twitterでは僅差で猫派を語るSさんと、大久保で春の肉食会。春休み映画『ミラクル・ニール!』の話から、犬好きのTさんに、好きな犬映画を聞いてみると『人生はビギナ...
本→音楽と映画#4<br> 3.11をめぐって
小説『彼女の人生は間違いじゃない』 映画監督・廣木隆一の、初めての小説『彼女の人生は間違いじゃない』(河出書房新社)を読んだ。主人公のみゆきは、東日本大震災後も、地元・福島の仮設住宅で父親と暮らし、役所に勤める女性だ。彼女は時々、高速バスで東京へ行き、デリヘル嬢になる。目的...
音楽と映画#3<br>『幸せをつかむ歌』
映画で、結婚式のシーンを観るのが好きだ。その土地の風土やお国柄、宗教、それぞれの家族が大事にしているもの、結婚するカップルのこだわりなど、ハレのセレモニーから、いろいろなことが見えてきて、俄然親しみがわくのだ。たとえば本作の主人公・リッキー(メリル・ストリープ)の次男ジョシ...
「よ」に弱い
映画『野火』 映画としての色気が、メッセージ性を軽く凌駕してしまっていた。 ある種の使命感や伝えるべきことがあって作られているはずなのに、それ以上に映画的魅力が画面からだだ漏れしている。 塚本晋也監督の『野火』は、そんな映画だった。...