
ひとりで踊る
土曜ドラマ「トットてれび」 NHK公式ホームページより 向田邦子が飛行機事故で逝ってしまった後、毎日入り浸っていた彼女のマンションの部屋を見上げるトットちゃん。喪服というには凝ったデザインの黒いジャケットとロングスカートに裾の長い白いブラウスを身につけた彼女は、思い出のつま...


名画をいただく<br>『バベットの晩餐会』
デジタル・リマスター版でよみがえった名画『バベットの晩餐会』が全国順次公開中だ。海辺の小さな村で慎ましく暮らす人びとの、心と体を満たすバベットのディナーは、スクリーンで観るとおいしさ&見応えが一段とUP! 貴重な機会をぜひとも味わっていただきたい。以下は、以前「午前十時の映...


私的名台詞 #4 <br>「アフリカの飢えた子供たちのことも、ごめんなさい、本当にどうでもよかった」
小説『それでも花は咲いていく』より エーデルワイス、ダリヤ、ヒヤシンス、デイジー、ミモザ、リリー、パンジー、カーネーション、サンフラワー。 9つの花の名前を冠した短編をあつめた『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)は、芸人・前田健の処女小説だ。さまざまな種類のセクシャルマイノ...


私的名台詞#3<br>「花も実もつかないけど、なんかの役には立ってんのよ」
映画『海よりもまだ深く』 古ぼけた団地のベランダで、年老いた母・淑子(樹木希林)が、すっかり中年になった息子の良多(阿部寛)に朗らかに語りかける。昔、彼が植えた蜜柑の木に水をやりながら。夫を亡くし、住み慣れた団地で気ままに暮らす淑子が、毎日せっせと手入れを欠かさないので、木...


母の日によせて<br>映画の中の母たち
A新聞の“母の日”に寄せた紙面で、母と娘で一緒に観たい映画についてのインタビューを受けた(5月8日掲載予定)。改めて母娘をテーマにした映画を整理してみると、古今東西、娘にとって、母とは巨大な壁であると思い至った。今回はB面のノリで、ひとりで噛みしめたい(!?)母娘映画を紹介...


私的名台詞#2<br>「なんだかんだ言ってお前が正しいよ」
映画『モヒカン故郷に帰る』より 緑のモヒカン頭の売れないバンドマン、主人公・永吉(松田龍平)が、妊娠した恋人の由佳(前田敦子)を連れて、7年ぶりに帰郷すると、父親(柄本明)の末期ガンが発覚。パクチー栽培で妻子を養おうかとうそぶく、30歳過ぎの愚息は、図らずも頑固親父の死と向...


私的名台詞 #1<br>「お友達なんですか? 相手の人」
映画『百円の恋』より 安藤サクラが32歳の自堕落な引きこもりから一転、ボクサーを目指して試合に挑むヒロイン・一子を魂込めて演じた映画『百円の恋』。第39回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞と最優秀脚本賞(足立紳)を受賞した本作が、4月8日(金)までテアトル新宿で凱旋上映中だ...


主人公の、観客の、人生に寄りそう犬映画
映画『ミラクル・ニール!』をめぐって Twitterの自己紹介でも、犬好きを公言している先輩ライターのTさん、Twitterでは僅差で猫派を語るSさんと、大久保で春の肉食会。春休み映画『ミラクル・ニール!』の話から、犬好きのTさんに、好きな犬映画を聞いてみると『人生はビギナ...


おばさんも乙女も、やらかくあやし合って
NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」 ヒロイン・あさを演じる波瑠の、物憂げな顔つきのせいか、朝ドラらしからぬ、夜っぽい印象を抱いていた、NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」。男勝りなあさと好対照なキャラクターで人気を集める、可憐な姉はつ(宮崎あおい)にまで、夫・惣兵衛(...


いつかこの部屋を思い出してきっと泣いてしまう
ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」 本当は互いに思いあっているのに、精神的に危うい恋人を見捨てられないと正直に頭を下げる錬(高良健吾)と、それをきちんと受け止める音(有村架純)。そして後半では立場が逆転し、荒んでいた自分を救ってくれた音にまっすぐ思いを向け...