たこ八つ〜井伏鱒二「画本 厄除け詩集」から『俳優 亀岡拓次』まで
元旦の朝、年末にSさんから贈られた、井伏鱒二の「画本 厄除け詩集」(12)を朗読した。厄除けや風邪よけのまじないとして、詩を書いたという井伏の詩は、煩わしさなどを笑い飛ばしてしまうドライさに溢れ、見開きを目一杯に使った金井田英津子の画の、濃やかで渋みのあるタッチもカッコいい...
2015映画ベスト10+3
2015年公開の映画ベスト10+その他印象に残った作品3本をピックアップ。 石村加奈の10+3 (C)松竹ブロードキャスティング/アーク・フィルムズ 1『恋人たち』 2『おみおくりの作法』 3『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 4『野火』 5『Mommy/マミー』...
音楽と映画 #2<br>「ニューヨークの巴里夫」
『スパニッシュ・アパートメント』(01)25歳、『ロシアン・ドールズ』(05)30歳、“青春三部作”完結編となる本作『ニューヨークの巴里夫』(13)では、ついに不惑を迎えた主人公・グザヴィエ。セドリック・クラピッシュ監督が“ライフワーク”と語る新作では、おなじみ、愛すべきダ...
文子さんから
漫画 『ドミトリーともきんす』 年に数回は『るきさん』を読み返す。あの話だけ、と思って手をのばしても一度ページをひらいてしまったらその手は止まらず、たいていおしまいまで読みきってしまう。かれこれ何度、るきさんの「それではチャオね」というあいさつを読んだことだろう。...
うわぁ、テクノのアロマテラピーや〜!<br>(彦摩呂風)
ドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』 “そうか、テクノという手があったか!”とテクノに救われたことが、これまでに三度くらいある。ちょっと煮詰まっていて、音楽も受けつけない状態の耳に飛び込んでくる、新しいサウンド。ロ...
ようこそ、パレードへ
映画『パレードへようこそ』 田舎の炭鉱町の福祉委員会で書記を務めるクリフ(ビル・ナイ)が、炭鉱夫たちを支援するためロンドンからやってきたゲイ&レズビアンの面々に、“黒い鉱脈”と呼ばれる石炭の層について語る場面がある。 「まずスペインから始まって、ビスケー湾の下を通って南ウェ...
音楽と映画 #1 <br> 「母と暮らせば」
山田洋次監督が、84歳にして初めてCGを駆使して作った、話題のファンタジー映画『母と暮せば』。故・井上ひさしの、広島を舞台にした戯曲「父と暮せば」の対となる本作では、長崎を舞台に、原爆で息子を亡くした母・伸子(吉永小百合)と、息子・浩二の幽霊(二宮和也)とのやさしい時間が描...
恋人とみちくさ
映画『恋人たち』 あまりにも泣きすぎて、ディテールを忘れてしまうほどだった。登場人物の不器用さがイタすぎて客観視できなかったのだ。彼らの表情はもとより、発する言葉も心情的で、うまく消化されない。「いいバカ、悪いバカ、タチの悪いバカ」とか「豚とニワトリ」のたとえ話とか。あれは...
はじまりの夜
映画『銀河鉄道の夜』 東京国立博物館で『銀河鉄道の夜』が野外上映される。そんなニュースを見つけたので、友人で同業者のKさんを誘って上野へでかけた。10月最初の土曜の夕方。秋晴れの気持ちのよい日だった。 ますむらひろしが漫画化した「銀河鉄道の夜」。そのアニメ版であるこの作品が...